スタッフ教育のカギは、公平であり不公平なコミュニケーションが重要
新人スタッフが入社してくると、よく挙がってくる問題を今日お話します。
人材不足の企業(店舗)は特に離職に対してナーバスになっているので、店舗スタッフとのコミュニケーションの前提をしっかりと伝えておかなければ大切な仲間を失うことになります。
あなたの店も同じ目に遭わないようにするためにも「スタッフ定着」「離職されたら困る」と思っている方はよく読んでください。
「スタッフがやっとの思いで入社してくれたんですけど、やっぱり大事にしないとすぐに辞めてしまいますよね」
と、不安たっぷりの経営者や、店主・店長がいます。私ははっきりした性格なので、「はい、辞めますね。」
と答えます。そりゃ当然ですよね。緊張した面持ちで日々一生懸命働いているのに誰にも承認・賞賛・尊重(3S)されていなければ違う会社の方が良いかもと離職を決意しますよね。
しかし、私がクライアントに話をするのは「まず絶対に見なければいけないのは新人じゃなくてベテランですよ!」と伝えています。
「おい、いきなりなんだよ!」と思うかもしれませんが、理由はこれからじっくり話しましょう。
スタッフ教育方法の原則はベテランアルバイト・パートを最優先すること
私はスタッフ教育やコミュニケーションについてよく「インサイドアウト」という言葉を使っています。
自分→ベテラン→新人→お客様
と、このように一番自分自身に近い存在から濃密なコミュニケーションを取らなければいけない、ということです。
しかし、多くの経営者や店長はこのような過ちをします。
新しいスタッフが入ってくると、店長自ら手塩にかけて育てようという気持ちが最優先になる
ベテランスタッフが何よりも大切なのに、新人スタッフに過剰な”接待コミュニケーション”をとる人が多いです。
一見まっとうな意見にも聞こえるのですが間違っています。なぜならベテランが手薄になるからです。
一番大切なのは、新人じゃない、今まで数えきれないほどサポートしてくれて、支えてくれたベテランスタッフです。
最近では、アルバイト・パートの職位が多くの企業で一定になっています。もちろん時給も。
すると、長く働いて会社にバリューを残してくれているベテランスタッフは不公平感を感じると一気に離職に向かいます。
不公平感は時給面?いやその前に一つ予兆がある。それは何か・・・?
疎外感
です。
先日も大阪にある定食チェーンの飲食店スタッフ教育コンサルティング時に、
「私達が新人の頃はすごい厳しかったのに、なんか今は優しすぎる」
「新人ばかりひいきにしてなんか納得いかない」
などのコメントをもらいました。気持ちはすごいよくわかります。
きっと私もベテラン立場だったら同じ気持ちになると思います。
新人・ベテランを平等にはできない。バランスよくコミュニケーションを取ろう
疎外感を感じる、つまり「大切にされている実感」が得られなくなると、ベテランの離職率が一気に上がります。すると、どうなるのか。
本来一番大切にしなければいけないベテランスタッフをないがしろにすることで(チームに悪影響を及ぼすベテランは除く)離職後、オペレーション効率も落ちるし、当然顧客サービス力も落ちて売上低下を招くことになります。
辞めてから、あ~やっぱりもっと大切にしておけば良かったでは遅い。こんな当たり前な負の結果があるにも関わらず、
イケてない店長や経営者はこんなことを言う。
「新人中心にコミュニケーションを取っていたらベテランがすねて新人をいじめるんですよ」
「そりゃそうですよ。聞いていると僕も拗ねると思いますよ」
または、
「新人が可哀想だ、これではすぐに辞めてしまい人手不足に元通り。ベテランにがっかりした」
「私はあなたにがっかりしていますよ。」
と、まぁこんなやりとりによくなります。アルバイト・パートは自身で仕事を選択する権利がある上、容易に選択できる立場にあります。
だから、別に一つの店に固執する必要はないのです。そんな環境下の中だからこそ、勤務期間が長くなれば長くなるほど、金銭的報酬が与えられない分「精神的報酬」を与える必要があるのです。
金銭的報酬=給与・ボーナスアップ
精神的報酬=承認・賞賛・表彰など
あなたの店はベテランスタッフが日々喜びに満ちた仕事ができる環境作りに力を入れていますか?新人が入ってきたら育てたい一心で一生懸命になるのはわかりますが、ただ絶対的な時間を新人に完全集中することはお勧めできません。
結果的にもっと大切な人を失うからです。そこで私が誰も辞めずに、全員の底上げに繋げるために、どうしたらいいのか?を考え実行した話をします。
チームマネジメントはスタッフは3階層にするとうまくいく!
私が企業研修やコンサルティングの目標の一つに、
離職率を低下させ、人材バリューを高めて売上を最大化させること
が挙げられます。今日はこれについて話をします。売上を最大化させるには優秀な人材が欠かせません。もちろん頭数も大切。
しかし、一番大切なのは店を支えてくれるベテランスタッフがあってこそ。(一部のモチベーションを下げるベテランスタッフを除く)
そこでベテランスタッフの疎外感を優越感に変えるためにいくつか施策を行います。私だけではなくあなたの店でもやっているかもしれませんが、せっかくなので紹介します。
例えば、ネックストラップの色を勤続年数に応じて変える、ということはよくやります。
1年目・・・黄色
2年目・・・青色
3年目・・・オレンジ
と、このようにです。基本的に用意するのは3種類です。
識別しやすいのと、沢山あっても混乱するだけです。書籍やセミナー、コツでも「3」がマジックナンバーなのです。
他にも昇格試験を実施し、上級・中級・初級と分けます。上級資格を取ると、シフトを自由に決められる権利(勤務規定範囲内)があります。
「はじめは、そんなことしたらシフトに入ってもらえないのでは、と懐疑的でしたが実際に取り入れると大成功でした。理由は簡単。強制的にシフトに入らなければいけない状況だと休みたくなるが、選択式だと責任感と主体性が湧きむしろシフト貢献してくれるようになるのです」
「でも、どうやって新人の不安を取り除いて教育して長期雇用に繋げるのですか?」
答えは簡単。ベテランスタッフを退けるのではなく、巻き込めば良いのです。
「ただ、ベテランスタッフの多くはプレーヤーとしては優秀でもトレーナーとしては苦手意識が多い」
理由は、そこまでの職域を伸ばす理由がないから。自身の仕事を効率化することには興味があっても、スタッフ教育には、全くモチベーションが上がらないのです。
「ここがミソ!一度巻き込むことができればベテランスタッフのバリューはさらに上がり、超戦力になる上、辞めなくなります。これも責任感の一種の覚悟です」
ベテランスタッフはもっと店の力になりたい!店長や経営者の力になりたい!と思っています。
しかし、この思いとは裏腹の現実感を見せつけられると仕事に対する情熱を失います。
プレーヤーからトレーナーへスムースに移行してもらえるようにサポートすることが大切です。
「私は経験数でどうしたら3階層組織で離職率をゼロに出来るか技術がありますが、ここにたどり着くのに2年かかりました。ぜひあなたも自身で考え抜いて新人・ベテランの価値を最大化してみてください」
「よっしゃ!やってみよう!」
と、早速行動していきましょう。でも・・・「でも、時間がないんです!どうしたらいいですか?」
と、不安になる店長や経営者もいるはず。もちろん虎の巻もありますよ。その具体的な方法は、「どれだけの期間、集中して新人教育をするのかを宣言することです」
モチベーションダウンを防ぐ!時間をかける具体的な期間を提示することが大切
先の見えないことから不安を抱くものです。ちょっと新人をひいきにするにしても
「8月いっぱいなら我慢して私たちも新人の指導をがんばろう!
と終わりが見えればモチベーションも湧いてくるモノです。
まとめると、いかにベテランを巻き込み、ベテランに
主体的に行動してもらえる組織文化を構築できるかが鍵です。
ぜひあなたの職場でも活用してみてください。
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