実店舗を抱えるアパレル業が赤字なのは単にネットショッピングにお客様を奪われたからではない、倒産の本当の理由
以下のニュースを必ずご覧頂きたい。
最初見たときは目を疑うようなマイナス成長だった。
こんなに状況は悪化しているのかと思ったほど。
いよいよ卸まで赤字になり、50億以下の会社は軒並みマイナス。
この状況下でアパレル業の社長はどんな意思決定をするのか?
おそらく方法としては今の業態を維持してイノベーションを起こすか、他業態へ事業をスイッチするかのどちらかだろう。
アパレルに特別な想いを持って経営をしている経営者(前者)はこれから先の記事を読んで欲しい。
他業態へスイッチされる方はここで読むのを辞めて頂いて構いません。
なぜならかなり厳しい話をするからです。
ネットショッピングが台頭しただけではなく、経営者の怠慢が倒産の理由だからです。
倒産しかけたアパレル実店舗の再生に必要な要素とは?
アパレル実店舗の赤字を黒字にするためにはこのままではいけないことくらいはどの経営者もわかっていることでしょう。
赤字から黒字に転換するためには今までの慣習を捨て、新しい組織を作り上げることが求められます。
もちろん失ってはいけない企業の軸は残しつつもほとんどを見直す必要があります。
・店舗数
・運営形態
・卸との関係性
・メーカーとの関係性
・組織マネジメント
代表的なのはこの5つでしょうか。
アパレル経営者はメーカーや卸との関係性を見直し、本部ー店舗ースタッフとの関係性(主軸をどこにおくか)を見直す必要があります。
私が相談を受けたアパレル経営者は、
と言っていました。
確かにそうかもしれません。
しかし、これまではこの業界構造のおかげで店舗を管理するだけで売上が上がり続けていたのも事実なのではないかと思うのです。
ブランディングやマーケティングなど企業経営で最も重要な要素も本部(メーカー)が主導してくれて、店舗は相当助けられた(集客面)のではないか。
しかし、顧客の購買行動が変わってきてネットで購入したり、ライバルブランドで購入する人が増えてきました。
すると、メーカーの力も衰えてきて(正確にはブランドが増え顧客のニーズの多様化に応える会社が増えた)、どんどん売上が落ちてきた、ということです。
さらにそこにネットショッピングがやってきて歯止めが利かない状況にまで状況は悪化しました。
そう、これまで事業の先行きはメーカーがになっていたので、店舗経営者は未来よりも日々の実務に重きを置いていたことで予測が立たなかった。
単純に見積もりが甘かった、と言わざるを得ない。
20年前は一つのビジネスモデルで毎年成長してきたかもしれません。
しかし、今は顧客のニーズの多様化に伴う購買先の選択肢の増加で売るのが難しくなってきています。
アパレル業の経営者と接していて、
と伝えています。
つまり、店舗は卸やメーカーほど努力をしなくても飯が食えた、ということです。
経営者としての力量が今の売上だ!と慢心したことが衰退の理由であると私は思います。
当時は人材も豊富にいたため、店舗を増やせば売上も利益も伸びていました。
しかし、今は人材不足、売り上げ不振のダブルパンチで撤退が相次いでいます。
メーカー(親)が販売代行(子)にビジネスモデルで飯をくわせてきた業界構造に問題があると私は思っています。
しかしこれだけの危機的状況になりメーカーだけではどうにもならない状況です。
メーカー×卸×店舗がスクラムを組み全力で店舗へ送客する仕組みやアイデアを生み出さなければ未来がありません。
店舗への集客の要は店舗価値を高めること以外ない
もう時間は待ってくれません。
一日も早く店舗価値向上に目を向けて立て直しをしなければ廃れた商店街のようにアパレルの実店舗がどんどんなくなってしまいます。
先日発表されたZOZOスーツをはじめとしたプロダクトは増えてネットの最大の強みである価格競争力に加えて利便性までも伴ったら店頭の勝ち目はなくなります。
では店舗価値を高めて顧客がまた昔のように店に押し寄せるにはどうしたらいいのか?
それは・・・
アイデアとは、顧客がワクワクする、ことです。
ワクワクを作り出す3要素は、
NEW VALUE:店に行けばかつてない新しいものに出会える
STAFF VALUE:店に足を運べばあの店員さんとまたお話ができる
MORE VALUE:店に足を運べば自分で買うよりももっといいものが買える
この三点が重要になります。
つまりインターネットショッピングでは実現できない付加価値を作り出す必要がある、ということです。
インターネットでは欲しいものを購入することになります。
関連商品(サジェスチョン)の精度はまだ低いため、店頭が強みを発揮できるところがあります。
店員と話をして、本来欲しいと思っていた商品を辞めてもっとニーズを満たせる商品を選択する、
何度来店しても自身の奥底に眠る潜在ニーズを顕在化し満たすことができる、これはインターネットは勝ち目のない店舗でしか生み出せない価値です。
ここに介在するのは「人」になります。
つまり、店員の接客力です。
アパレル実店舗が撤退・倒産するのは店舗スタッフが価値を生み出せないから
未だに世間は、
と思っているわけです。
私もウザいなと思うほど
と、接客パターンが店舗価値を大幅に下げていることに店は気づいていません。
店舗スタッフの接客力がなければそれだけ店舗から顧客が離れるのは自明の理です。
なぜ、このことに気づかないのでしょうか。
疑問で仕方ありません。
しかし、最近私なりに答えを見つけることができました。
それは、
倒産してしまうアパレル実店舗の経営者は反論の余地がないのではないか。
人材不足になり、店舗の運営が会社の心臓部(売上をうむ唯一の場所)であることにようやく気づいたときにはもう遅いのです。
もっと店舗に目を向けて、どうしたら店舗で働くスタッフが働きやすくなるのか、高いモチベーションを持ってくれるのか、仕事に誇りをもってもらえるのかと経営者は考えなければいけません。
と寄り添っていた経営者もいるでしょう。
しかし、肝心のところが抜けているのです。
それは、販売力アップをはじめとした研修の機会です。
これは私が研修講師だから、という言葉で片付けられるほど簡単な話ではありません。
他の業界は人材育成が活発に行われています。
実際に小売・サービス・飲食業向けの書籍は1万部売れたらベストセラーと言われるほど買う人が少ないです。
それはつまり、人材教育に対する関心度が低いことを意味しているわけです。
店舗よりも本社に重きを置いているから衰退しているのです。
売るのは本社ではなく、店頭です。
店頭の販売力向上を目指さなくて企業成長はあり得ますか?
私はありえないと思っています。
もっと店舗に重きを置き教育の機会を創れば人材不足とも無縁だったと私は推測します。
販売員向けの研修が充実し、店長向けの店長研修が充実していれば伴った成功体験(売上達成・ファンが増える)があれば自身の仕事に誇りが持てるし、毎日が楽しくて仕方ないはずです。
実際はそうではなく、人材不足で業務量が過多になり接客をしたくて入ったのでオペレーションの毎日、何のために働いているのかわからなくなって退職、というのが現実です。
今すぐ会社を変えなければ未来はありません。
すぐに実行に移しましょう。
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