離職率が高い会社でのコンサル・・・本音を話してくれたある店長
私は第三者として離職を決意したスタッフや店長、マネージャーの面談をすることがあります。ざっと見積もって年に100名くらいでしょうか。
どうして辞めてしまうのか、を話すと社内では言えない話をしてくださいます。と、同時にどうしたらスタッフや店長、マネージャーが辞めないのかがわかるわけです。
それを実行に移して今離職率低下専門のコンサルティングや研修をしています。その結果こんな成果が生まれました。
その模様は以前コラムで紹介しているのでリンクを張り付けておきます。
と、自慢話をしたいのではなく、離職の本当の原因は社内の人には話さないし、本当の理由を会社は理解することができないので対処のしようがありません。だからこそ、今回の記事は有意義だと思うし、「離職率が高い職場」になってしまっている企業の方であればものすごく役に立つと思います。
2週間7名なんてよくある話で、結果的にこの店は今どうなっているのか?現在21名です。
元々10名でしたから+11名になりました。この店舗はコンサル終了しました。それは売上も伸び続けているし、採用も安定し、超高収益店舗の仲間入りをしたからです。これで他の店舗へ私は来月から異動します。(2018年5月コンサル契約終了)
こうして1店舗ずつ改革をして安定的に収益を生む店舗へと成長させていきます。
最後に店長は少し寂しそうでしたが、今後は独り立ちしてよい店を作ってもらいたいなと期待しています。
離職率を下げたい!と思う店長や経営者は沢山いますが、離職率を下げるのはとても難易度が高いことをもっと知って欲しいなと思います。
なぜなら、社内制度に福利厚生を充実させれば離職率が下がると簡単に考えている人が多いからです。
理想の店を作るためには離職の本音と向き合わなければいけない
この会社の他の店舗のコンサルティングもしていたのですが、本気だから見事改革しました。
(※文字が読み取れないようにサムネイルサイズにしています。ご了承ください)
左の赤字が店長からのフィードバック、右がスタッフさんの改善点です。これ毎日見開きで2ページを使って日々の改善をしています。
あなたには毎日できますか?やっぱりそれまでに人が辞めていた組織には問題があるわけです。その問題の大部分は店長とスタッフのコミュニケーション質の低さや会社の制度、または人材不足によりさらにシフトがきつくなる、という現象が招いたものです。
この現実を謙虚に受け止めて「変わろう」と決意しないと何もことは動きません。
だから、店長や会社が本気になって変わることを決めない限り店の改革はできないと最初に言ったのです。
店長は、苦手意識のあったスタッフ(離職しやすい)とも積極的にコミュニケーションを取り、関係改善に努めることです。これも「なぜ私が?」と店長が思っている限り話は進まないし、プライドが高ければ高いほど事態は好転しません。
店長の次は会社です。私が店舗経営者によく話すのですが、「会社は、私を雇ったことに満足せず、現場からの改善点と真摯に向き合い、制度変革をすることです。」と。
双方の歩み寄りが大切です。会社だけが変わってもダメだし、店長だけが変わるのもダメ、スタッフだけが奮闘するのも違いますよね。
ですから当然ながらスタッフ本人にも変わるように私は関わります。特定のスタッフというよりは、販売研修や販売員研修、店舗コンサルティング時に、全スタッフに共有するようにしています。
会社・店長・スタッフみんなが笑顔になれる方法を模索して成果に結び付けていくことが大切です。ただし、全員が本気で改革しようという決意があっての話です。
突きつけられた課題(現実)から逃げずに立ち向かう勇気を全員が持てるかどうかが重要です。
ではこの改革が終わった超高収益店舗も含めてスタッフが離職する本当の理由とは何かをお話しましょう。
離職率の高い会社の特徴 その① 誤解
「店長に嫌われてると思うんですよ。」
「えっそうなの??」
と、おそらく店長はそんなつもりもないのに、繊細なスタッフは店長に嫌われていると思い込んでしまい、ことあるごとに嫌われているからだと解釈するようになり、離職を決意することがあります。
外部の私からしてみたら、「あ~もったいないな」といつも思うのですが、話を聞けば聞くほどお互いのちょっとした解釈の違いが「嫌い」を生み出しているんだなと実感します。
離職率の高い会社の特徴 その② 恐怖
「店長が怖くて仕事が手につかない」
「確かに、怖いよね。」
と、店長との縦のコミュニケーションがボスタイプで精神がすり減らされてやめることを決めることもあります。これは完全にボス型の旧来のコミュニケーションが変わらない店長の下で働くスタッフの典型的な悲鳴です。
私も話をしていて「この店長威圧的だな」と思うときスタッフは完全に疲弊しているという現場を幾度となく見てきました。
プライドも高く、過去の実績もあるため「私が正しい」というエゴが全面に出た店長はなかなか現実を自分ごとに受け入れる(高い離職率の原因は自分であること)ができないのも特徴の一つですね。
離職率の高い会社の特徴 その③ 会社に対する小さな不満の蓄積
これは先日聞いた話であり、きっと離職する人の多くは腹の底では会社にガッカリしてしまったのではないかなと思います。
それこそ最初は店長と個人の主観的な相違から最終的には会社全体を客観し不満点ばかり目について離職に繋がるのではないか。
「本社の人も偉そうだし、新しく来た店長も俺様だし、この会社にうんざりしました。休みも少ないし、長時間労働も当たり前、これまで受けてきた苦痛も多いので最後に労働基準監督署に行って辞めようと思っています。だっておかしいですよ。なんでこんなに人として認めてもらえないんですか。社長は毎日楽しそうに過ごして、店長も私達スタッフと比べたら休みたいときに休むし、私たちはコマじゃない。「ありがとう」を言われたこともないし、給料も安すぎます。スタッフ同士で話をしてもこの会社の悪口ばかりでそれも共感できることしかありません。みんな一緒に辞めるかもしれないんですよ。それでもいいんでしょうね、きっと私たちの気持ちになんか興味ないんだから。みんなが辞めて初めて青ざめるんじゃないですか。そうでもしないとこの会社は変わらないですよ。」
こんなこと言われたら言葉にならないですね。このネガティブの応酬にあなたは耐えられますか?(笑)いや~きつかった。
これがよくあるスタッフの離職の本音です。目に映るもの、耳に入るものすべてが不満になっている末期状態です。
こんなに言いたい事があったんだと痛感しました。話し始めたら止まらない止まらない。
と、同時に今までこういうことを言う場所がなかったんだなと。
「先生すみません、こんなに愚痴るつもりなかったんですけど、せっかくだったので。」こういったやりとりも数えきれないほどありました、これまでに。
そして、私は言葉を返します。「もう辞めるって決めてるんですか?」
「すぐに仕事が決まるわけじゃないので、決まり次第という感じですね。」という方も少なくありません。不満は多いけど、結局勇気が出なくて文句タラタラ言いながらも会社にとどまっているというパターンです。
まだ辞めるわけじゃない。実は不満タラタラでも「諦めている」わけではなく、少なからず私に話したということは「期待」をしているということでもあります。
「それじゃあ半年頂戴。それまでに一緒に会社変えていこう。言いたい事いってすっきりしたでしょ。いった以上はこの環境を一緒に変えてもらうよ。」
「何をしても変わらないですよ、この会社は」
「でも、待ってください。じゃあなんで私がいるんですか?私が来ましたよ。それが事実でしょ。会社は確実に変わろうとしている。だから変わる」
「そうかもしれないですね・・・何をすればいいんですか?」と、こういう話になります。
高離職率企業は、会社や店に対して文句があるスタッフが多い
またそれを無視してきた会社の姿勢が見て取れる
慢性化した時代遅れの縦社会が生んだ弊害としか言いようがありません。
これからの時代は、現場スタッフが輝けるように店長は縁の下の力持ちに、会社は下支えの基礎になる必要があります。
会社がトップで次が店長という構図、そして現場が一番下ではありません。時代は変わりました。逆です。
これまでのマネジメント構造を根本から見直さなければいけません。
私はコンサルティングに入る際に、会社や店長にだけ問題があるなんてこれっぽちも思っていません。
(※それは労働組合の役割です。)
だから、スタッフの話だけを鵜呑みにすることもありません。
現場の味方ですが、両者が歩み寄ってこそ会社は変革すると思っています。会社だけが変わればスタッフは怠けてさらに愚痴が助長するだけです。
スタッフだけが変われば会社は「あ~沈静化したよかった」と反省もしません。だから、両者が変わるべきなのです。
私は、これまでに離職率が高い職場(会社)を100%の確率で改善してきました。やり方はいくつかありますが、必ずどのパターンでも通る道が今回のコラムです。
制度を見直すことはもちろんですが、原因の多くは「内部コミュニケーションの改善」により解決できます。
表面的に福利厚生だけ充実させたって意味がない。ちゃんと現場と向き合って生まれたアイデアでなければ意味がない。なんか以前Twitterか何かに「コンサルの言い草」とか書かれたけど、ツイートした人が誰だかも覚えていませんが、何もわかってない。
事実組織は変わってるから。何も変わっていないのであれば何を言われても良いが、実際に変わったという事実の裏には綿密な計画と設計があります。
現場スタッフは、私が来たことで最初は確実に「また何か始めたよ。でもどうせ人が足りないからすぐになくなるんだろうな」となります。これは許容範囲です。というかもう慣れました。しかし、お互いに対話をすることで、「私達の意見を取り入れようとしている」と体感し変わろうとし始めます。
変わろうとし始めるまでがコンサルの仕事だといつも思うほど全員が期待しはじめて動いたらもう止まらない、組織は一気に変革します。ぜひあなたも諦めずに会社改革、店舗改革をしてスタッフが働きやすい環境作りをもう一度実践してみてください。
もちろん当社に連絡して頂ければ全力でサポートさせて頂きます!
今日の学びであなたがするべきこと
・スタッフの本音を引き出す第三者機関を用意する
・離職してからでは遅い。対策を考えよう
・過去と今の職務環境の差は関係ない。今の環境こそ大事
・スタッフの慢性的な不満はスタッフ定着率に直接影響する
・良い会社を作るには全員が変わらないと意味がない
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